町田メガネは治らない

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zoom RSS 歴史をエンターティメントに用いるならば、プライドとリスペクトは忘れないで欲しい

<<   作成日時 : 2008/07/06 23:14   >>

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好きな漫画家の作品がアニメ化された様子。
その人の、ギャグ調歴史舞台漫画を思い出しつつ、少し真面目に主張したい。


歴史漫画は、みんな白土三平のカムイ伝みたいに
時代の先駆かつ大スケールであれ!!ってわけではない、ささやかな主張です。


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資料を追いたい気持ちが伝わる四コマ漫画



【危惧】
歴史が好き!
……と言っても、いろいろな好きがありますよね。

過去の真実により近づく事が快感である歴史好きも入れば
物語が好きなだけで、それがたまたま歴史モノというケースも。


発掘される銅剣や銅鏡の数や分布に一抹の興味も無く、
魏志倭人伝から紡いだ結果としての面白い物語こそが―

―心に入り込みやすく、楽しみやすいというのは良くわかる話。


それはそうだと思う。
しかし、だからといって歴史で物語を作る側までが史実に無知無関心であり
物語を受け取る側も、物語を物語としてしか受け取れない場合があるのでは困る。

誤解しないように強調しておけば

「この下民どもが……教養の無い頭で、歴史をこねくり回して遊びおって…」
「マンガやドラマに影響されおった、半端な歴史好きどもめが!死んでしまえ!!」
「目の前の物語を、どこまで史実でどこまでが物語かを考えて観る事もできぬのか!」

と、偉そうなことを言って悦に浸りたいのではないのです。

ゲームにしろ映画にしろ、あらゆるエンターティメントにギミックとして用いられうる歴史。
歴史上の人物、物語、物品、団体、地域、etc…etc……

それを受け止めるとき、その表現についてもう少し意識を上げてみませんか!?
そのほうが、本当に楽しいと思うし、その感覚は他のことにも役に立つよ!!

そして、描き手も。


そう言いたい記事なんです。


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この時代に「情報」という言葉はまだ無くても


【人物のイメージ】
いまや、新資料などと言わずとも古典的資料だけで、
存在や実績が疑わしい人物・事跡は幾らでも有る。

いや、信長の奥さんの資料が少ないから「帰蝶」を出すのが悪いといってるわけじゃなく。


イメージ。
既に資料有る人物のイメージ。


既に江戸時代の講談や、現代作家の秀逸な物語によって
巨人に仕立て上げられた脇役は、その作家の意思を超えて活躍を続けている。


いつまでその流れを、イメージを続けるのか?


偽書であるとわかっていても、年月が立てば偽書としての史料価値があるのは認める。
しかし、その時代の物語を描くのに、いつまでも
現代作家がそのイメージを引き摺ることも無かろう。

大衆に対して、そのときは安心感の有る作品とはなっても
長い年月の中で色あせない金字塔となる作品・エポックとなる作品にはならないのでは。

それは、後続の歴史物語作家のプライドの少なさか。
はたまた、作家としての敗北ではなかろうか。

司馬遼太郎が坂本竜馬を取り上げれば、秋山兄弟を取り上げれば
それで彼らは稀代の傑出した人物だというのか?

作家たるもの、自分で資料を掘って、自分で新しく主人公を作れよ。
有名作家の足跡をふんどしにして、一体何本の本が出てるんだ。


一般的なイメージ、なんてものに縛られるのは
新聞の四コママンガだけで十分じゃないかな。

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後世の呼び名である事の示唆をしておく丁寧さ


【面白い物語の、凶悪なまでの威力】
先述した秋山兄弟というのは、司馬遼太郎の小説
「坂の上の雲」という作品に出てくる主人公で。
主人公として読み甲斐の有る活躍と葛藤を、小説の中で描かれています。

でもね、別段にこの時代の超人として描かれているわけではない。
この二人の視点を通してみた、日露戦争といった内容だ。

だのに、この時代を背景にした多くの作品に無闇に出るといったらありゃしない。


三国志も、特にそう。
三国志演義という古典小説をいつまでベースにするのか。

正史三国志もあれば、同時代をより正確に見つめることのできる資料もたくさんある。
三国志演義の素晴らしさに、いつまでおんぶで!だっこで!


これは逆に、その超有名作品が、その有名度に相応しいだけの
面白さを持っているからなのですが。

面白さを知り、面白さを作る側には。作品の贈り手側には!
その面白さに敬意を払いつつも、その威光に屈服されぬ矜持が欲しいと思います。
一部の気鋭のクリエーターへの問いではなく、総体としての話ですが。
(「やられた!」と思う作品は、いつもあるけど。)

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楽市楽座を信長の手柄にしがちな作品は多いが……



【作品紹介】
今回お勧めの漫画は
「MISTER(ミスター) ジパング」

「GS美神 極楽大作戦!!」や「絶対可憐チルドレン」で著名な
椎名高志の作品です。個人的には「椎名百貨店」がとってもお勧め。


この「MISTER ジパング」はギャグマンがでありながらも
この当時はまだ世間では浸透していなかった戦国時代の四方山話を
各所に「実は、実際には」みたいな感じで丁寧に配置してあります。

歴史エンタメ作品よりも新しい発掘資料のほうが好きだとか言っている
歴史好きにも「あ、わざわざ記述してる」「この事実を無視していない」
という箇所をいくつか見せることによって、安心感を与えているのです。
(ギャグ漫画という手法だから、そういった事が出来るともいえるかもしれませんが)


ストーリーは、結局は史実どころか戦国自衛隊バリのハチャメチャですが
楽しい読み物として物語としてはしっかりとした出来でありながら
なおかつ、作者の高い知性を垣間見せる上記のような「史実への気遣い」がある
歴史と漫画とギャグが好きな人ならばみんな読んでいていい作品だと思います。


それらのおかげで「わかってて、こう描写していそう……」と善意で解釈したい場所も多い。

史実の人物達を大胆に椎名キャラ化を施してあり
ストーリーの傍流となる人物の描写(今川とか大原雪斎とか)は適当だけれど
もしも別作品でスポットを当てて書いたとしたら、きっとステレオタイプには
描かないだろうなと確信できるないようです。

ギャグ歴史漫画で秀逸な作品と言えば片山まさゆきの
「SWEET三国志」(すいーとさんごくし)が秀逸で有名です。
 
が。
 
「MISTER ジパング」は史実や新資料・新定説にも配慮した
一段丁寧な作品といえるかもしれません。歴史描写の視点では。

でも、ギャグ力と発表時代を考えると、
やっぱり片山まさゆきはスゲーなぁとも思います。

画像

漫画の持つ威力を知っているが故の断り書きでしょう



【その他紹介】
・劉備を日本人(倭人)とするビッグコミックスの
 「覇−LORD−」武論尊 (著), 池上 遼一 (イラスト)

・三国志でさえひらがなで表記する少年チャンピオンの
 「さんごくし」やまさき 拓味 (著)


……それなりの巻数で連載が支持される現代日本ですが
こいった作品群の存在が、僕には心苦しくて。

義経が大陸に渡ってジンギスカンになった!
みたいな主張に等しい荒唐無稽な内容を、来日する中国人や韓国人に見つけられ
冷笑されているのかもしれないと思うと何か身体がかゆくなりそうです。
(そんな事は無いだろうし、あちらの国々との比較では日本のほうがまだましだろうが)

「MISTER ジパング」は、最後の最後はおもいっきり「トンデモ」で終わります。
それこそ、義経が大陸に渡ってジンギスカンになった!みたいな。

でも、作者が歴史を尊重しているのは感じ取れるものです。



【まとめ】
歴史への、史実への、研究史家諸氏へのリスペクト有る作品は、
小説にしろ漫画にしろ、良い歴史作品。

私は好まないが、ゲームの三国無双や漫画の一騎当千は
歴史を出汁に使いすぎて、いっそあのレベルまで行くと清清しい。

何事も、半端は良くないよね!

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