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zoom RSS 誰もが愚人かもしれないけれど、そこに安住してはいけない。 ―ポッチカリロから学ぶ事―

<<   作成日時 : 2008/07/13 19:37   >>

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■【基礎スペック】
雀賢者ポッチカリロ
片山まさゆき
竹書房・近代麻雀オリジナル連載
全2巻。

画像

たったの二冊。気軽に買って読んでみてください。



■「片山まさゆき」という漫画家
漫画好きであれば、片山まさゆきの作品群に触れないわけは無いだろう。

……その上麻雀が好きであればなおさらのこと。
場合によっては作者の漫画から、麻雀という冥府魔道へと進んでいった者もいるはずだ。

氏の作品は、丁寧な闘牌シーンと心理描写を掛け合わせることにより
上質のギャグを醸し出すことが出来ている。
その力は舞台を麻雀にせずとも「SWEET三国志」という名作を描き出せるほどのものだ。


……そのギャグ力があまりに秀逸ゆえに、つい忘れがちになるのが
氏の作品にはいつもなんらかのテーマがあり、
それを一つの作品の中でしっかりと貫いていることだ。

彼は、多くの人にとって麻雀を舞台にしたギャグ漫画家なのかもしれない。
しかし、恐ろしいほどにギャグ力が抜きん出ているだけで
その本質はあくまで麻雀漫画家なのだと思う。数少ない、麻雀漫画家なのだと思う。


彼は、麻雀漫画家なのだ。


■雀賢者ポッカチリロで描かれている事
数多の片山まさゆき作品の中で何故、この作品を取り上げたいのか?

それは、麻雀を通して対戦相手に感じる「憐憫の情」を丁寧に
七つにカテゴリ分けし、それぞれについて「愚人」という擬人化を施し
その各個に対してイソップ童話のような勧善懲悪を施している。

強くなるためのテーマでもなく。
雀界のためのテーマでもない。

ほかならぬ、一人一人の打ち手に対しての啓蒙の書であるのが心地いいからだ。


ただし、舞台をプロリーグにしてあるために一部表現が難解になっているのが残念だ。
氏がよく麻雀を理解し、なおかつ同じレベルで理解している人に
普段から囲まれているからだろうが……少々解説を施さないと、
その愚人の愚行が愚行であることがピンと来ない読者もいただろう。

例えば、二つ目の三元牌等を鳴かせてしまった時の場の空気・打ち筋等について
作中では「ひどい」「ちゃんと打て」等の台詞が飛び交うが
そのレベルを掬い上げて読みきれる読者は、意外と少ないのではないか?とか。


■作品概要
この作品では、ポッチカリロという謎のヒッピー系雀士の活躍を
千曲明路(ちくまあきみち)という、同じプロリーグで闘う
一般的な青年雀士の視点を通して描かれる作品である。

正直、連載当初はなんでこんな名前のこんなキャラクターなのか理解できず
この作品に対してあまり親近感を得られず期待できなかった。

が、ポッチカリロという名前は

「ポン」「ツモ」「チー」「カン」「リーチ」「ロン」

という、麻雀における必須の発音の頭を繋げたものであり、
その結果のポッチカリロという名前を作中で出すためには
変な名前でもなんとか納得できるように、謎のヒッピー系キャラにしたと思われる。


今にして思えば、この基礎的な発音をしっかりしようという意図だったのだろう。
私の漫画の読解力の貧弱さを悔いる思い出である。


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ちなみに、
【ポッチカリロ=「ポン」「ツモ」「チー」「カン」「リーチ」「ロン」】説
については、以下のサイトがソースである。

理想ノート
http://majanmemo.blog53.fc2.com/blog-entry-19.html
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■プロ七愚人
ポッチカリロと千曲はGリーグからスタートし、各リーグに君臨する愚人に一度敗北し
次に雪辱を果たしてリーグを登るという、わかりやすい構成で話が進む。
(連載初期は愚人は未登場。つかみの話としては少しもったいない気が。)


★飯分 仕手太(いいわけ してた)
 Gリーグのいいわけ愚人。

さすがにプロなだけあって、言い訳のレベルは低くはない。
しっかり睡眠をとって負ければ「寝すぎたな…」ときて
「かえってボーッとして今ひとつ打つ気になれなかったなっ」とくる。

言い訳を用意しておくという、ちっぽけなプライドを守るための行為を否定し
「言い訳を言える局面なんぞ一局だってありゃしねぇ」という千曲の姿が良い。


★備田 一文(びた いちもん)
 Fリーグの吝嗇愚人。
 
「相手からはとれるだけ取って自分からはほぼ何もやらない」
という、シンプルな哲学を信奉している。
が、それはただのケチという形になって表面化しているため嫌われる人格となっている。

点棒循環説という概念で彼は戦いに敗れる。
ケチゆえの保守性のため、攻めどころを間違うような描写があるが
本質は、四人で打つ遊戯の中では時に連携も必要な曲面があるのに
自分勝手な打ち方をあえて打ち続けると人として嫌われるよ。という含みか。


★ピエール 砂城
 Eリーグの虚栄愚人。
 
「自分を中身以上に見せるのは楽しい!」という台詞に代表される虚栄家。
「麻雀は見た目が9割」という哲学を信奉している。
社交的だが、結局は信頼を得られていない寂しい人物として描かれている。

・本当の自分だけをしっかり見つめる
・麻雀は中身が9割
そんな、当たり前の概念を取り戻して打つ千曲達は勝ちあがっていく。

実際の麻雀でも、実直なツモ和了を基本とした麻雀を貫き打つ人には
凝ったブラフ麻雀は効かない事を思い出させるが、問題は打ち方ではなく
そんな人格が結果として打ち方にも現れているところ、か。


★所有田 株土地(しょゆうだ かぶとち)
 Dリーグの物量愚人。

リーグ残留権を金で買取り、さらに南入りすると二万点を追加できる権利をも
金の力で得ているやりすぎな存在。

今リードしている事に溺れる心を否定し、いかなる状況下でも
あきらめない気持ちが展開されている。
実力に似合わず、運で点棒をかき集めてしまった人への警鐘というよりは
圧倒的リードを許してしまっても、グレずに打ち続ける気持ちを啓発していると言える。


★雑葉 裸夫大(ざっぱ らふお)
 Cリーグのアバウト愚人。

「麻雀はラフでいいんだ」と、様々にだらしなく打ち
周囲にもその怠惰な気持ちを蔓延させてラフなインファイトを演出している雀士。

「正しく打つ」というシンプルな内容で彼は敗れるが、
仲間内での麻雀でも、ラフな打ち筋は許せてもラフなマナーは許せないわけで。
大雑把でいいところわるいところの線引きについて警鐘を鳴らしている回と言えよう。


★萎滝 緑(なえたき りょく)
 Bリーグのネガティブ愚人。
 
「ツイてないね」という言葉巧みに、相手に上がっても振っても
アンラッキーであったと認識させ、気持ちを萎えさせていく打ち手。

作中では、ネガティブな流れを奇抜な行動や打ち方で破ってはいるが
楽しく打つこと、希望を捨てずに打つ事等のポジティブ思想で打つことが
楽しく、そしてそんな人こそ強いと示唆している。

私も、たとえ敵わぬ程強い相手だとしても、楽しい人と打ちたい。


★観善 寺哀(かんぜん じあい)
 Aリーグの完璧愚人。

「麻雀の手順で完全に50vs50(フィフティフィフティ)なんてことはありえない」
と確率論的な正論を延べ、それを実行できる天才。

もちろん、彼は圧倒的に強い。
しかし打ち手としてはつまらない。また、麻雀には運の要素があるのは事実で
長期戦ではなくその場の勝負所や魅せるための戦いとしては
正確さだけでは語れないことを示している回なのであろうか。

普段は、私も完璧愚人のように打ちたいと思う。
でも、それだけでは麻雀を楽しく打ち続けられないというのは良くわかる。


■最後に
全ての愚人を倒し、リーグ王決勝戦に望む彼らの前に立ちはだかるのは
「紫初 魔手美(しはつ までうつ)」というキリストのような風貌の男。
名前は、麻雀小説読者にとっては神にも等しい
阿佐田哲也(色川武大)からとったものと思われる。

彼は、いままで千曲達が各リーグで使ってきた様々な気持ち・打ち筋を
より高いレベルで使いこなせる圧倒的な打ち手。愚人ではなく賢者。

しかし「対戦相手にリスペクト」という一番大切な心を新たにする
ポッチカリロに追い上げを喰らい、最後には千曲の一途な思いが
タイムラグで届いて撃破する。


最悪な状況でも、麻雀に、対戦相手に感謝する気持ちは大げさに見えて
真に大切な気持ちだと僕も思います。


誰もが不完全な人間なので、愚人のような気持ち行動を起こすことはあるでしょう。
それでも、敬意を払うという素朴な気持ち一つさえ胸に抱き続けていれば
きっと道を誤らず、より良くなって行くでしょう。


麻雀に限った話をしているのではなく。
人として。

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