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zoom RSS スイーツ(笑)男子の決定版!『地獄のドバイ―高級リゾート地で見た悪夢』

<<   作成日時 : 2008/08/24 17:30   >>

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地獄のドバイ―高級リゾート地で見た悪夢
彩図社
峯山 政宏

ユーザレビュー:
ラマダンとお祈りタイ ...
ドバイの裏を見させて ...
峯山さんの先生の教え ...
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■推薦理由■
誰もが一度は読書するに相応しい大推薦の一冊。
理由をいくつか。


▼【小説として面白い】
夢を見て降り立つ。困難とつかのまの安定、そして事件。夢破れて、未だ憧れの地を去る…
そんなシンプルだが確実に面白いドラマを一冊の中に手軽に納めきている。

「読書したい。なんか物語を読みたいなー」
と思う人に気軽に推薦できるボリューム。

まるでドキュメントのように記載されているので、いつも事実が書かれ
真実を得ているかのような軽い快楽も伴えるかもしれない。


▼【見聞録として】
著者の体感からくるUAE世界の描写。

その資料的価値が、マルコポーロの当方見聞録バリに
読み手に「ここは信じていいのか」「ここは違うんじゃないか」
みたいな、いろいろと思いを馳せる余地を十分に残した

「推理要素」

が各所に練り込まれているエンターティメント。


▼【読者へ優位性を提供する見事な仕立て】
主人公は、冒険的な若者。
英語(TOEIC730点)と、三週間で得た寿司技術でUAEに乗り込んでゆく。
リスクを犯し、それに見合っただけのゲームは成立している。

しかし、随所に見える主人公の認識の甘さ。覚悟の足りなさ。
2008年に適した表現で言えば間違いなく「スイーツ(笑)」だ。

ある程度もののわかる読者にとって、いくつか突っ込みどころが発生し
反応の返らないペーパーメディアであるはずなのに
インタラクティブを期待して「おいおい!」と呼びかけたくなる
優秀なスイーツエンターティメント。


▼【情報処理訓練として優秀なサンプル】
実際に目で見る情報はその個人の視点資質で大変に変質するものです。

主人公の体験が、主人公の視点にどんな影響を与えたのか?
主人公の認識力・情報力はいかほどのものなのか?

「新聞にこう書いてあったもん!」
「テレビで前、こうやってたもん!」
「先生が、こないだ言ってたんだしー!」

そんな情報群と同じで、その中から自分で価値有る情報を抜き出す。
インフォメーションではなく、それを土台にしたインテリジェンスにしなくては。

この書物から、あなたはどれだけ有益で確度のある情報を抜き出せるでしょうか?





■少し、真面目に■
この本は久々に読後感が悪く、私の発散としても記事にしたかった。

▼【読んで見える、著者の人物像】
UAEという土地で日本の論理で考える国際力の無い人間である。
1979年生まれならば事件当時は28歳か29歳か。

個性的なのはいいが、海外での成功を夢見る人物だったというのであれば
その海外というものの理想と現実についてもっと認識が高くても良いのではないか?

「異国の地でも日本人としての矜持を忘れない」ではなく
「日本や先進国ではこうなのに!」という傲慢さ。

こんな人物が日本人を名乗って海外に出ているのかと思うと
彼に英語力や行動力があるだけに、残念な気持ちになる。

観光客が観光客としてバカ丸出しでリフレッシュするのは
私は観光ゆえに肯定的なのだが(程はあるが)
労働者として渡航しておきながらこの本は無いだろう!と思う。


読める体験記を書けているので、文章力もある人だ。
だが「人物」とは言えない。

この本が売れれば成功者や著名人にはなれるのだろう。
しかし、それは嘲笑を浴びながらのものとなる。
本人は意に介さないだろうが。


私は、この本が売れてもいいと思う。
だから、記事として取り上げた。

でも、読み方についてはうるさく言いたい。


▼【引っかかる、感覚】
・夢見るものとしての覚悟の無さ
・異民族社会への敬意の無さや不勉強

目立つ。

若者が、若さ等をを資本として冒険的な行為に走るのは
社会にとってある程度必要な、発生すべき行為だと思っている。
いや、著者の様にそんなに若くなくてもいい。

夢をもって追うところにまずはイノベーションの可能性があり、
社会を豊かにする可能性を広げる。


……だからといって、夢を追う際に不勉強不覚悟で良いわけではあるまい。
海外、ですよ?日本ではなく外国なんですよ?


アブダビ中央拘置所拘留(収監?)について

「犯罪を犯したわけではない」

こんな文句が前書きの1ページ目からある。
この時点で読者としては「無罪なのにどうして?」と読み進めますよね。

そして読み進めていくと「やっぱりお前が犯罪を犯しただけじゃないか?」
と、なるわけです。UAEの法では彼は「滞在法」に違反していたとなる。

彼にとってどんなに悪法に思えようが感じようが運用が適用が変に思えようが
UAEにとって彼は犯罪を犯したことになっているので
前書きの内容は嘘と自分で告白しているようなものだ。

日本人の感覚では絶対に納得のいかない行為なんて法治主義だろうが人治主義だろうが
世界にごまんとあるはずだ。

ある国で、偶然に軍事機密を見てしまい消されてしまったとしよう。
酷い。非道い。

しかし、海外に飛び込むということは……日本ではどんなに理不尽で違法だとしても
現地では自然な行為なのだとは一生自覚できないのではないか?
成文した法ではなく、慣習や官吏のモラルなども含めて。

UAE人や、そこに由縁の有る日本人達がこの本からどんな不利益を受けるのかを考えると
この本をこんなタイトルで出版したことそのものが一番の犯罪ではなかろうか。
ドバイに地獄があるというなら、世界中各所に地獄の口が開いているだろう。


▼【人権について】
賃金の安さや拘置所の待遇などにつけて、著者は先進国の感覚で人権意識を記述する。

外国人労働者の環境について人権のうんぬんを言うのであれば
比較に持ってくるのは同じく、海外の外国人労働者かつUAEのような
超ピラミッド国家でやらないとアンフェアではないのか?

現実には、国民国家形成・富国強兵の一つの車軸として人権は運用されている。
アメリカ人がソマリア人の境遇を不憫と思い寄付をする事はあっても
アメリカという国家が他国の人権状況に政治的因縁以外に何かするわけあるまい。
人権という人間が作り出した概念に、この著者はどれだけ魔力を信じているのか。


これまで、辛苦に耐えてきたこの地域の人間が神の思し召しとして
石油で豊かになったとしたのならば。
その豊かさはその土地でもともと暮らしていた人に最大限享受させたいに決まっている。

圧倒的な数の外国人労働者に著者の考える当たり前が通じる待遇を与えるほど
この地域は世界の中でも特殊な環境だとでも言うのか?

アメリカでグリーンカードを求める人が、既にアメリカ国民と同じ待遇があれば
そんなものはもともと求めないだろう。
どんな国だって地域だって、外国人労働者には特殊な環境・状況でもない限り
本人に技能やコネ、そして運がないと残酷な毎日なのは世の常ではないのか?


だとしても。
それでも、自国よりは夢を見てやってくるのだろう。


作中のアフリカ人たちの

「食べれるだけましだ」
「戦場と比べればどこだって天国だよ」

という台詞に何を学んだのだろう、この著者は。
学んだ結果が、この本か。


▼【この本が与える影響を想像する】
・タイトルが、なんといっても「地獄のドバイ」である。
 手に取らない人でも「ドバイは地獄なのね?」と思う人が現れそうだ。

・軽く手に取った人が目次と前書きを読んだとしよう。
 「法を犯していないのに拘留される国なのか」
 「非人道的な国なのか」
 「ドバイはヤバイ国なんだな」
 という印象で終わるだろう。

・買って、読み込んだとしよう。
 教科書に、新聞に、テレビ報道に。
 基本的に等身大の真実しか書いていないと思う多くの人にとっては
 「UAEには足を運びたくない」と結論するに違いない。

 激しい結論に読者を導くほうが、商品としての本としては優秀だろう。


どんな国にだって、裏面はある。
それをあえてほじくってその面だけを報道する理由など普通はあるのだろうか。

UAEが中国の様に激しい報道規制を日本政府やメディアに要求しているというのか?
だからその是正を、彼が危険を犯して頑張って本で表現しました、ということか?

何事かを為したつもりになりつつ本が売れるのであれば
彼にとって、きっと幸せなことだろう。


■終わりに■
この本は、ある男の冒険譚として読む程度には悪くない本だと思う。
だから、本当に買って読むことをお勧めする。

しかし、ドバイレポートとして読むには危険だ。

厳しい日光で火を使わなくても目玉焼きが作れるとか言うのは
現地の風土を知る上で有用な気もするが……
上下含めてのUAEの実情としては偏りを感じる。

最後の【参考・引用文献】のボリュームから見ても
資料としての裏づけに疑問が大きい。


【前編】非常識国家ドバイ、とあるが著者の常識に問題は無いのか?。
【後編】地獄のアブダビ中央拘置所、とあるが世界で珍しい光景なのか?


この本が悪意でもなく、商売っ気に支配されてでもなく出版されたとするならば。



ただただ、彼がスイーツ(笑)だったに過ぎないのだろう。
みんなもこの本を買って、彼を幸せにしてね!

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
http://www.independent.co.uk/opinion/commentators/johann-hari/the-dark-side-of-dubai-1664368.html

英語が理解できる方なら、上記の英インディペンデント紙の記事を読んでみてください。
この、本の著者が4日の拘束で済んでまだしも、ラッキーだったことがわかります。
ぽち
2009/06/28 00:11
英文は、がんばらないと理解できません。
町田メガネ
2009/10/04 23:10

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