町田メガネは治らない

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zoom RSS 「おもてなし」という感覚をもって事物を運びましょう

<<   作成日時 : 2008/09/08 00:57   >>

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私は経営学の本は好きではない。
しかし、この本は読み始めることが出来、一気に読むことも出来た。

面白いからだ。

おもてなしの経営学 アップルがソニーを超えた理由 (アスキー新書 55)
アスキー
中島 聡

ユーザレビュー:
プログラマー、SE、 ...
「おもてなし」、でき ...
「おもてなし」のお話 ...
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経営学の本にありがちな「勝者の後づけ分析→ここがポイント!」ではないが
人種国家業界全てにおいて普遍的な原理を説いているわけでもない。


【この本を読むきっかけ】
身近に、ユーザーエクスペリエンス(user experience)という概念について熱心に勉強している人がいたので
その対訳案として「おもてなし」という言葉が浸透し始めている事を伝えたら
あまりにも先刻承知だったらしく、その対訳語を提案した人の本を返答として頂いた。

それがこの「おもてなしの経営学」である。


気持ちよいほどの敗北と言うか、彼我の圧倒的な理解の戦力差と言いましょうか。
いつもなら読む気は起こらないはずの「タイトルに経営学のついた本」を読む事になりました。


【タイトルと中身の整合性】
酷い話、この本のタイトルはどうなのだろう?

この本のタイトルにある「おもてなし」を軸からぶれずに解説しているのは一章のみ。
二章目は著者のブログ記事群をもってきて三章には対談がいくつか。
二章と三章は、一章にある発言のバックボーンを補強するためのおまけと言っても過言ではない。

また、アップル・マイクロソフト・ソニー・任天堂・SUNマイクロソフト等の社名が出てくるが
読み込んでみれば企業風土というよりも、著名な経営者の個人の思想信条能力個性に繋がっていく。

この本は究極な話、
「マイクロソフトになりたければ経営者はゲイツになれ」
「アップルになりたければジョブスになれ」
と言っているに等しい。


……この本のタイトルは経営「学」となっている。

ネット時代の経世済民を基調にした経営学が、そもそも学問といえるほど
確立した法理法則を打ち立てているのかという疑問もあるので大目に見なくてはいけないのか?
ここにイラッと来るのは、カンペリ(シシャモに似た偽魚)をシシャモとして売ることを
許したくない狭い心の持ち主だからかな。

もしくは「経営術」や「これからの時代のものづくりに必要な思想」とか
言葉を置き換えたり違約したりしたとしても
読み始めて50ページも進めばこの本の目的は達成してしまうといってもいい。


【気持ちの良い試み】
僕は、日本語の外来語吸収能力が好きだ。

発音をすぐにカタカナで日本語として落とし込み、
さらにいつしかは漢字での単語と対応した音読みを与えて
日本語により親和性の高い日本単語にしてしまうからだ。

が、この何事も早く進む現代において
氾濫するカタカナ語に対してのジャパナイズ化は
もっと不便な明治期に比較して、適した速さと言えるのだろうか?

スピーチを演説と訳した福沢に続く人たちが国語界にたくさんいないとだめなんじゃないの?


そんな中、ユーザーエクスペリエンスをおもてなしと訳する本の登場ですよ。
もうそれだけで気持ちよく読み始めてしまう。


【アップル論】
一応、おもてなし製品・おもてなしサービスの例として
YouTubeやディズニー等、一見複数のサンプルを用いて書いているけれど
とどのつまりはアップルの発想を解題していく内容といっていい。

さらに言えば、要は「ジョブスすげーよ、iPhoneはイイ!」につきる。

言葉の意味を追求し、古今東西のおもてなし発想商品事例を引き合いに出して
これまでの、そしてこれからのユーザーエクスペリエンスの対訳としておもてなしを
浸透させようという、タイトルに沿った「おもてなし」が主人公の話を期待したが

……アップルとMS、ベンチャーと大企業の違いを語るところにすぐシフトしてしまう。


【だが、痛快だ】
しかし、面白ければいいのだ。痛快で有ればいいのだ。

……私は、ソニーの久夛良木語録がゲーム好きの端くれとして残念でならない。
久夛良木語録とは要は、PS3のボスがコアゲーマーをないがしろにする発言集。

この本が痛快なのは、ソニー(久夛良木)と任天堂(岩田)をおもてなしという視点で比較して
任天堂を持ち上げている部分である。

スッ……と、何かが晴れる。
「そうか……久夛良木語録への違和感や反発は、おもてなしを根底にもっていないからなのか?」


この、自分では言葉に出来なかった解を用意してくれたこの本には感謝したい。
ゲーマーとして、結構ここは痛快です。


【二章・三章からのピックアップ】
二章・三章を一章から切り離して、それぞれボリュームを増やして別々に出版しようよ、と思う。

一章は、タイトルに恥じず「おもてなし」だけではなく「おもてなし方」にももっと掘り下げ
日本人にも売れるiPhoneにするためには日本市場で必要なおもてなしはなんだろう?みたいな本へ。

そこで、日本向けローカライズのコストがうんぬんとそこらへんにも話を広げて初めて
「iPhoneすごい」と言って欲しかった。

二章・三章は「俺が中島聡 -これからIT業界で生きていくならよ-」みたいなタイトルでやってほしい。
たいしてタイトルに紐づいてない話が多いんだよね……

以下、印象的なとこピックアップ。

▼IT業界でのものづくりに必要なこと
「プロジェクトにとって何が大切なのか、何が優先事項なのかを明確にし末端のエンジニアも含めて……」
 ↓
コレができるって事は、参加者みんなが「人材」に値する集団だと思う。
そんなに難しい意味での人材ではなく。基本的な論理的思考と+α程度の。

人口百万人当り、その意識・発想で仕事できるプロジェクト集団を何個つくれるのか?
そんな国家比較がしたいと、ふと思った。

▼英語を学ぶべき、という話
・知識労働者にとって、英語が有効で優先度高い事項なのは納得
・でも、英語が出来る人が日本国内の企業に多くなくてもいいと思う
 そういう部署や、海外にはいなきゃいけないけれど。
・この違和感は、著者が韓国のサムソン電子講演で若手開発者50人が
 みんな流暢に英語を使え、アメリカで修士・博士号を取っている事に感心していること。
  ↓
 これを、サムソンの強みととらえるのは納得だが
 韓国社会はこれでいいのか?という気持ちに僕はなる。
 日本人の優秀な人材がみんなアメリカの大学に価値を見てアメリカにいったとしよう。
 その「日本」は、果たして日本人が誇れる日本なのだろうか?

▼エグジットプラン
これは、日本には全然足りない感覚技能だなと思う。
投資されたら、どう利子をつけて返済するかを計画的に、説得力をもってやるのは当然だ。


「マネーの虎」という番組が昔あった。
成功者達に投資を会議室で無心して、断られたり融資を受けたりする番組だ。

これが面白かったのは、残酷な話……出資を求める人間達が、
皆エグジットプランが甘いどころか理解しておらず視聴者に
「なんて馬鹿なんだ!こいつは世の中舐め過ぎ!!」
と思わせる、ある意味公開処刑的な面白さが人気の秘密だったと思っている。

このエグジットプラン(どのように投資家にリターンをもたらすか)の感覚が浸透していれば
マネーの虎なんてのは一時の流行にもならなかっただろう。

▼西村ひろゆきとの対談にて
西村発言の面白さに喰われている気が。
その発言を引き出した著者の手柄ではなく。

特に結論は無いけど、面白い対談。
当然だが、2ちゃんねるとニコニコ動画についての話が多く割かれている。

グーグルという企業についてひろゆきの「グーグルは何も考えてない」派発言が印象に残る。


一番キタのは
「本名でブログを書いている人というのはよほど自信があるのか、頭が悪いのかのどっちかだと思ってる」

僕です。
自信も、頭の悪さも両方あると思ってます。

でも、もしもこの発言に反応できるならば「覚悟がある」という価値観を追加提案したいな。

▼古川さんというアスキーやMSで偉い人だった人との対談
かつての上司部下の間柄なので、阿吽の呼吸感が文章密度を上げている。

昔の日本には「おもてなし」があったが今は消えているという発言が
極端な発言で読者を刺激して面白くしようという意図なのか、
本気で日本からおもてなし感覚が消えたと思っているのかよくわからない。

北方謙三ではないが「ソープに行け」と言っておこう。
(私は、ソープに行ったことがありません……)

▼梅田さんというはてなの取締役の人との対談
NTT時代の日本企業風土への憤りが熱い。
そして、実際に飛び出すところが当時の日本人として型破り、という事なんだろうなぁ。

少し嫌なのは、なんでギークとスーツなんていう横文字で流行らせようとするんだろう。
カッコいいからかな「ギーク」が。技術屋と背広組でいいじゃんと思う。

▼日本の起業インフラがアメリカと比べてまだまだ整備されていないという話
そうなのかな?身近に起業者が何人かいると、
敢えて「整備されていない」と取り上げるならば具体的で致命的な話が欲しいな。



▼最後に、そして一番この本を読んで気になった著者の発言
「僕が死んだときにお墓はいらないからブログだけは残しておいて」

この本は、この感覚が「理解できる」「もう持っている」「いずれ持つ」
そういう人じゃないと、センテンスを読んでうんうんとうなずくだけに終わりそう。
著者は、徹頭徹尾「俺にしか出来ない面白いこと」が好きな人の様子だ。

「面白い人がIT業界で活躍するとこうなった」



そんな本。
そんな、面白い本。

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